堺（さかい）・アートクルーズ

福岡(ふくおか) 道雄(みちお)

みんなへのメッセージ

若(わか)い頃(ころ)、ろくなモニュメントはないと息(いき)巻(ま)いていた僕(ぼく)も、自慢(じまん)できるものは何一(なにひと)つつくっていない。自分(じぶん)の彫刻(ちょうこく)の前(まえ)を通(とお)り過(す)ぎるのは苦手(にがて)、恥(は)ずかしい、引(ひ)け目(め)を感(かん)じる。二十五歳(にじゅうごさい)の時(とき)、府内(ふない)某市(ぼうし)庁舎(ちょうしゃ)中庭(なかにわ)にセメントで十八(じゅうはち)メートルの地面(じめん)を這(は)う大(おお)きな野外(やがい)彫刻(ちょうこく)を現場(げんば)で半年(はんとし)かけてつくった。材料(ざいりょう)のセメント、砂(すな)、鉄筋(てっきん)は支給(しきゅう)され、日当(にっとう)千円(せんえん)。象(ぞう)のうんこ、と評(ひょう)されたが、この一点(いってん)だけが何(なん)とか見(み)てもらえると思(おも)うのだが、今(いま)はもう無(な)い。知(し)らぬ間(ま)に削岩機(さくがんき)で潰(つぶ)されていた。無茶(むちゃ)をする。現在(げんざい)は陽(ひ)の射(さ)さない場所(ばしょ)に貧弱(ひんじゃく)な植木(うえき)と、陶器(とうき)のパンダが二(ふた)つ置(お)かれている。つくる方(ほう)も、つくられる方(ほう)も、まだ無知(むち)の時代(じだい)であった。意味(いみ)のあるモニュメントが欲(ほ)しい。

作者(さくしゃ)の略歴（ りゃくれき）

1936年(ねん)生(う)まれ
1958年(ねん)白鳳(はくほう)画廊(がろう)で最初(さいしょ)の個展(こてん)
以後(いご)、現代(げんだい)美術(びじゅつ)の動向(どうこう)展(てん)（京都(きょうと)国立(こくりつ)近代(きんだい)美術館(びじゅつかん)）
現代(げんだい)世界(せかい)美術展(びじゅつてん)（東京(とうきょう)国立(こくりつ)近代(きんだい)美術館(びじゅつかん)）
第(だい)16回(かい)サンパウロビエンナーレ
現代(げんだい)日本(にほん)美術(びじゅつ)の展望(てんぼう)（富山(とやま)県立(けんりつ)美術館(びじゅつかん)）
芸術(げいじゅつ)と日常(にちじょう)−反(はん)芸術(げいじゅつ)／汎(はん)芸術(げいじゅつ)（国立(こくりつ)国際(こくさい)美術館(びじゅつかん)）
福岡(ふくおか)道雄(みちお)新作(しんさく)展(てん)（伊丹市(いたみ)市立(しりつ)美術館(びじゅつかん)）等(など)
内外(ないがい)の主催(しゅさい)美術展(びじゅつてん)に出品(しゅっぴん)。
現代(げんだい)日本(にほん)彫刻(ちょうこく)展(てん)でｋ氏(し)賞(しょう)、第(だい)８回(かい)中原(なかはら)悌二郎(ていじろう)賞(しょう)優秀(ゆうしゅう)賞(しょう)受賞(じゅしょう)

他(ほか)の作品(さくひん)