堺（さかい）・アートクルーズ


増田(ますだ) 正和(まさかず)

みんなへのメッセージ

増田(ますだ)氏(し)に府立大学(ふりつだいがく)の現場(げんば)を見(み)てもらい、構想(こうそう)を説明(せつめい)したとき、「僕(ぼく)にとって最高(さいこう)の場所(ばしょ)だと思(おも)います。ここに僕(ぼく)の作品(さくひん)が置(お)けるのならこんな嬉(うれ)しいことはありません。生涯(しょうがい)で最大級(さいだいきゅう)の作品(さくひん)をつくってみたい。」と彼(かれ)はいった。製作(せいさく)の進(すす)み具合(ぐあい)を見(み)るために、私(わたし)が小豆島(しょうどしま)の石材(せきざい)加工場(かこうじょう)を訪(おとず)れたとき、彼(かれ)は10数(すう)トンもある能瀬(のせ)の黒御影石(くろみかげいし)を８ツばかりに割(わ)り分(わ)け、それに磨(みが)きをかけているところだった。黒御影石(くろみかげいし)は同(おな)じ石材(せきざい)でありながら研磨(けんま)の度合(どあ)いで色(いろ)が違(ちが)って見(み)える。荒削(あらけず)りの部分(ぶぶん)は白(しろ)く見(み)えるが磨(みが)かれるにつれて黒(くろ)さが増(ま)し、つるつるに磨(みが)きあげられたものは真黒(まっくろ)く見(み)える。その加工度(かこうど)の違(ちが)いによって、荒(あら)いものから磨(みが)き上(あ)げられたものまで数段階(すうだんかい)の異(こと)なる石(いし)を順番(じゅんばん)に組(く)み上(あ)げる方式(ほうしき)で、一大(いちだい)彫刻(ちょうこく)に仕上(しあ)げようというのであった。そうしてできあがったのが「Process」1986で、若人(わこうど)の成長過程(せいちょうかてい)を石(いし)の表情(ひょうじょう)に託(たく)して表現(ひょうげん)したものだ。
※上記(じょうき)は、『Process』の大阪(おおさか)府立大学(ふりつだいがく)設置(せっち)にご尽力(じんりょく)された前田(まえだ)孝一(こういち)氏(し)の寄稿文(きこうぶん)より抜粋(ばっすい)したものです。（大阪(おおさか)府立大学(ふりつだいがく) 獣医学友(じゅういがくゆう)会報(かいほう)第(だい)16号(ごう) 1995年(ねん)２月(がつ)３日発行(にちはっこう)）

作者(さくしゃ)の略歴（ りゃくれき）

1931 兵庫県(ひょうごけん)に生(う)まれる。
1955 京都市立(きょうとしりつ)美術大学(びじゅつだいがく)西洋画科(せいようがか)卒業(そつぎょう)
1958 第(だい)13回(かい)行動美術展(こうどうびじゅつてん)彫刻(ちょうこく)で初入選(はつにゅうせん)（東京都立(とうきょうとりつ)美術館(びじゅつかん)他(ほか)）
1961 大阪市立(おおさかしりつ)美術(びじゅつ)研究所(けんきゅうじょ)に入所(にゅうしょ)
1968 日本(にほん)青年(せいねん)彫刻家(ちょうこくか)シンポジュウム（小豆島(しょうどしま)）に企画(きかく)参加(さんか)
1972 「韓日(かんにち)現代(げんだい)彫刻展(ちょうこくてん)」企画(きかく)出品(しゅっぴん)（ソウル）
1975 第(だい)６回(かい)現代日本(げんだいにほん)彫刻展(ちょうこくてん)（宇部市(うべし)）で京都国立(きょうとこくりつ)近代(きんだい)美術館賞(びじゅつかんしょう)受賞(じゅしょう)
1976 第(だい)５回(かい)神戸(こうべ)須磨離宮(すまりきゅう)公園現代(こうえんげんだい)彫刻展(ちょうこくてん)で宇部市(うべし)野外彫刻(やがいちょうこく)美術館賞(びじゅつかんしょう)受賞(じゅしょう)
1981 第(だい)９回(かい)現代日本(げんだいにほん)彫刻展(ちょうこくてん)（宇部市(うべし)）で大賞(たいしょう)受賞(じゅしょう)
1982 第(だい)８回(かい)神戸(こうべ)須磨離宮(すまりきゅう)公園現代(こうえんげんだい)彫刻展(ちょうこくてん)で神戸市(こうべし)公園緑化(こうえんりょくか)協会賞(きょうかいしょう)受賞(じゅしょう)
1984 八王子(はちおうじ)彫刻(ちょうこく)シンポジウムに参加(さんか)
1985 '85兵庫(ひょうご)の美術家(びじゅつか)に出品(しゅっぴん)（兵庫県立(ひょうごけんりつ)近代(きんだい)美術館(びじゅつかん)）
1986 塚本(つかもと)英世(ひでよ)記念国際(きねんこくさい)交流(こうりゅう)海外研修員(かいがいけんしゅういん)としてイタリアで研修(けんしゅう)
1987 個展(こてん)（大阪市(おおさかし)、現代彫刻(げんだいちょうこく)センター）
1988 大阪(おおさか)中之島(なかのしま)緑道彫刻(りょくどうちょうこく)コンペティションで優秀賞(ゆうしゅうしょう)受賞(じゅしょう)
1989 ペンギャラリー展(てん)に出品(しゅっぴん)（西宮(にしのみや)・アトリエ西宮(にしのみや)）
1991 第(だい)１回(かい)関ヶ原(せきがはら)石彫(いしぼり)シンポジウムに参加(さんか)
1992 ６月(がつ)20日(にち)　死去(しきょ)（享年(きょうねん)61歳(さい)）
Process