新宮 晋
みんなへのメッセージ
ruby>翼は空気を捕らえ、その空間を自由に飛行する目的で生まれた。それは、充分な強度を持ちながらぎりぎりまで軽量化された構造、滑らかな薄い形状、気流の変化に感応するしなやかな機構を持っている。それぞれのスピードや動作に完全に合致する様々な翼は、いずれも美しく力強い形をしている。この黄色いセールクロスを張った4枚の翼は、微風から強風までの風の変化に応じて運動が変わるように設計されている。微風では可能な限り風圧を受けようとしていた凹面が、風が強くなるに従って、なびいて風を逃がすようになる。だから強風状態でも、翼それぞれのひらひらする動きは大きくなるが、中心軸の回転はある回転数以上には増加しない。
作者の略歴
1937年大阪生まれ。東京芸術大学絵画科を卒業後イタリアに留学。6年間の滞在のうちに平面から立体へさらに動く造形へと移行。以来風や水といった自然エネルギーで動く作品を世界各地に作り続けている。1971〜72年ハーバード大学視覚芸術センター客員芸術家。2000年6月から2001年12月にかけて、地球上6ヶ所の自然の風景の中に作品を設置し各地の人々と交流をはかる「ウインドキャラバン」を企画、開催。その活動により第43回毎日芸術賞特別賞受賞。2002年には紫綬褒章、2003年には現代日本彫刻展大賞を受賞。「いちご」「くも」(文化出版局)「小さな池」(福音館書店)など絵本も描く一方、オリジナルの舞台作品も発表している。著書に「風の旅人」(扶柔社)、「WINDCARAVAN」(ブレーンセンター)。