堺・アートクルーズ
どんな人が造ったの?

生島 豊昭


●みんなへのメッセージ●
私の少年時代おおよそ50年以上も前ですが、東支所のあたりは見渡すかぎりの田畑でした。稲田の向こうに生駒山、二上山、金剛山がま近に望めました。歴史的に見ますと飛鳥や大和の都に通じる街道がこの地域を通っていました。それが竹内街道です。竹内街道はシルクロードの最終の街道ともいわれ、文化、経済、生活など日本にとって最も重要な交易路でした。今でいえば名神・東名のハイウェイですね。また、この地域ははるか昔から肥沃な土地で豊富に米がとれ、人々の暮らしも中国大陸などからの高い文化を受け入れる余裕がありました。さて、東支所の地域にふさわしいテーマと形態をもつ彫刻の制作依頼を受けた時、わたしは歴史に根ざした形態を何枚かデッサンいたしました。その中の一枚が寺院の大屋根を支える『肘木』を基本原型にしたものでした。『肘木』は巨大寺院建築のためのハイテク技術のひとつですが、さらに、地域の人々の生活を支え、そして、国造りのために壮大な夢や理想を求め、太陽や月や星とともに旅をする人々を静かに見てきたにちがいありません。『肘木』のU字状の基本形態の空間に太陽や月、星などの絵画的要素を配置しました。そして、題名はすぐに『時をこえて』が浮かびました。原型制作には約一ヶ月かかりました。厚いベニヤ板で基礎的な形をつくり、特殊な硬質の石膏をその上に盛り上げていきます。完成した原型を富山県の鋳造会社(クロタニ)に運び燐青銅に鋳造いたしました。この会社には多くの高名な彫刻家の作品(が所挟しと在り、表面処理、着色などの指導のため富山まで通いました。同時に作品を設置する土台となる石探しが始まっていました。彫刻家道北氏からよい御影石が出ましたと一報があったときは嬉しかったですね。ただ、モニュメント全体の重量が1.5トンになり東支所には 地下室があり、太いハリのある今の位置に設置することになりました。彫刻『時をこえて』は東支所の地域の歴史を考え、これからも人々が平和で豊な生活が出来るように祈りをこめて制作した作品です。
3.作品をよく見て楽しもう!
4.作品の見方
5.どんな人が造ったの?
  略歴
6.作品について勉強しよう
7.作品を見に行こう
0.はじめに
1.作品名から選ぶ
2.作者名から選ぶ


(C) Sakai city Board of Education.